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〜新章〜 『経験と智慧が紡ぐ新たな人生のストーリー』

公認会計士・税理士:佐伯直毅

投稿日:2023/8/20

発生してからでは手遅れ!押さえておきたい相続対策のツボ

 

第二回 相続対策=相続税対策と思っていませんか?

 

相続税が気になる

 

相続相談に来られるほとんどの方が、「相続税を抑える良い方法を教えてほしい」「○○をすると節税になると聞いたが本当か?」というような質問をされます。相続税に関する改正がある度に新聞やテレビでも取り上げられることが多く、皆さんの関心が高いのも間違いないでしょう。しかし我々にとっては一番答えにくい質問なのです。

 

相続対策は何からするか

 

相続対策を大きく分けると、

の3つで、基本はこの順番通りに検討していきます。そしてその前段階として、資産構成と家族構成の確認、つまり現状把握から始まります。冒頭の例でいえば、○○をして節税ができたとして、それが原因で揉めないか、より効果の高い方法や、それ以外の対策は必要ないか、またそもそも対策が必要か等々、現状把握なしに真に的確な回答はできないのです。

 

相続対策の基本手順

 

実際のご相談では、まず資産構成と家族構成を把握したうえで、その資産をどう分けたいかを伺います。そしてその通り分割した際に想定される問題点を、特に揉めないかという観点で検討、相談して分け方を決め、場合によっては遺言書作成も検討します。次に、現状で相続が発生した場合の相続税額の概算を見ていただき、またそれを払う現金があるのかを確認します。あればOK。なければ、対策案を検討します。

 

ここから相続税対策

 

これで問題なければ、このまま相続発生、納税でも構いません。しかし、できるだけ多くを残してあげたい、税負担を減らしてあげたいというのが人情。相続税を抑えることができないかの検討を行い、冒頭の○○がベストな対策ならそれも良し、いくつか方法をお伝えし、お考えに合った対策を選んでいただきます。

このように、争族、納税、節税の順で検討し、必要な対策を順次行う流れになり、逆に言うと、小手先のテクニックでの対策では、効果はあっても、別の視点からはデメリットになるなど、全体最適に至ることは難しくなります。相続対策はまず揉めないこと。資産構成に偏りがある場合や、ご家族(相続人)が多い場合は、分割の時点で対策が必要になることも多く、100人居れば100通りの対策が必要です。我が家オリジナルの対策で全体最適を目指しましょう。

 

税理士法人ななほし会計

代表社員 公認会計士・税理士 佐伯直毅